PIC開発環境の構築

PICは、PIC自体が形状的にも機能的にもバリエーション豊富で、自作回路とプログラミングで、使いこなせるようになれば、無限大の可能性を秘めいている反面、そこに到達するまでの準備が大変!

米国製品であることから、PICプログラムの開発を行う環境も英語ベースで、もちろん日本人のユーザも少なからずいるため、そこそこ情報量はあるものの、情報が古かったりして、これから始めようとするビギナー(私含め)にとっては、最初から困難の連続!!

本来の目的は、自作回路(装置)を思い通りに動かすことなのに、それ以前のところでかなりの時間と労力を要してしまうのでとてもつらく、やる気が萎えてしまう。。。

何とか開発環境を整えても、そこからさらに自分で選定したPICへの書き込みや作成したプログラムのビルド段階でエラーが発生すると、英語表記で意味が分からず、運よく該当する情報があればいいが、なければそこで頓挫してしまい、趣味の世界でも余計なストレスを抱え込んでしまうことに。(こんなことなら、Aruduinoにしておけばよかった。。。)

そこで、ここに私の経験(まだ十分PIC開発をこなしているわけではないですが)を記事に残すことで、誰かの助けになれば幸いと思い、本当に面倒な開発環境の準備手順を記します。

1.準備

開発環境構築で用意しなければならないもの(したほうが良いものも含め)は、別記事にも記載した通りで、本書では具体的に下記のもので説明していきます。(参考まで)

1)開発端末・・・ここでは、下記スペックの(ノート)パソコンを使いました。

NEC VersaPro VB-P(CPU=Intel Core i5-6300U ,MEM=8GB)
OS=Windows10 Pro(21H2) 64Bit 日本語版

2)プログラム開発環境ソフトウェア・・・PICマイコンの開発メーカMicrochip Technology社が無償で提供しているIDE(統合開発環境)ソフトウェア「 MPLAB X IDE 」(本書では、Ver.6.0)

3)C言語コンパイラ・・・こちらも上記IDE同様に PICマイコンの開発メーカMicrochip Technology社が無償※で提供している ”MPLAB XC Compiler”シリーズのうち、とりあえず 「 MPLAB XC8 Compiler 」 。(使用バージョンは後述)

※”無償”版の場合は、コンパイルの最適化指定ができないなどの制約がありますが、趣味で使用する範囲ではそれほど不便することはないです。

※同社が提供するCコンパイラとして、「MPLAB C18 Cコンパイラー」や 「MPLAB C30 Cコンパイラー」 がありますが、これらはいずれも ”MPLAB XC Compiler”シリーズ の前世代のPIC用C言語コンパイラパッケージですが、対応するPICも限定的なので、初学時に購入した参考書で使用されていたということでない限り、これを使用することはあまり推奨しません。

4)PICライター(プログラマ)・・・Microchip Technology社製の 「PICKit3」(2022年現在では、後継のPICKit4となっており入手困難。Amazonでサードパティ製のPICKit3モドキであれば入手可能)

以上が、PIC開発に必須なツールです。

ちなみに、PICのICとPICライタ(プログラマ)をつなぐための「(DIP型PIC汎用の)書き込みアダプタ」なるものがあったりますが、本書ではこのようなものは使わず、ブレッドボード(最初だけ)もしくは自作回路に各PICに応じた書き込み回路(ICSPポート)を実装しますので、必ずしも必要ではありません。

それでは、さっそく面倒な準備作業を進めていきます。。。。

2.各ソフトウェア(IDEおよびC言語コンパイラ)のダウンロード

下記URLから、各ソフトウェア項目へ移り、以下のファイルをダウンロードする。
URL>https://www.microchip.com/en-us/tools-resources/develop/
・MPLABX-v6.00-windows-installer ・・・MPLAB X IDEインストーラ
・xc8-v2.36-full-install-windows-x64-installer ・・・MPLAB XC各種インストーラ
・xc16-v2.00-full-install-windows64-installer
・xc32-v4.10-windows-x64-installer
以上、2022/06/16で最新バージョン。
補足)MPLAB XC各種インストーラは、すべて必要でなく、これから開発していきたいPICの型に対応したものだけでも良い。

4.コンパイラのインストール

(コンパイラを追加インストールするときなどで)先にX-IDEをインストールしていた場合は、いったん、起動していたX IDEおよびIPEは閉じておく。

(1)xc8-v2.36-full-install-windows-x64-installerをダブルクリックする。(他のコンパイラも以下同様)

(2)下図の画面にて、”I accept ……”を選択の上、「Next」をクリックする。

(3)無償版で利用するため、下図の画面にて”Free”を選択の上、「Next」をクリックする。

(4)下図の画面にて、(特に変更の必要がなければ)そのまま「Next」をクリックする。

(5)下図の画面にて、(特に変更の必要がなければ)そのまま「Next」をクリックする。

(6)下図の画面にて、そのまま「Next」をクリックする。

(7)下図の画面にて、プログレスバーが100%に達するまでしばらく待ち、「Next」をクリックする。

(8)下図の画面にて、Free版で利用するので、そのまま「Next」をクリックする。
 ただし、有償版で使用することを想定しているのであれば、下図中の”Your Host ID is:”欄に表示されているコードを記録しておくこと。

(9)下図の画面が表示されたことを確認して、「Finish」をクリックする。

5.MPLAB X IDEのインストール

(1)MPLABX-v6.00-windows-installer をダブルクリック。

(2)下図の画面が表示されるので、「Next」をクリックする。

(3)下図の画面が表示されるので、”I accept ….”を選択の上、「Next」をクリックする。

(4)下図の画面において、インストール先のパスが表示されているので、特に問題や希望がなければ、デフォルトのままとし、”Proxy Settings:”は、この開発端末が繋がっているネットワーク(LAN)環境においてProxyサーバがなければ、デフォルトの”No Proxy”を選択。下段の2つのチェック項目は、このMPLAB XIDEプログラム改善のための情報提供をするか否かの選択で、端末からの情報出力に神経質でない限り、デフォルトのまま(チェックあり)で問題なので、「Next」をクリックする。

(5)下図の画面において、下図のとおりデフォルトのチェック状態のまま、「Next」をクリックする。

補足)ちなみに、ここに記載の内容について、
”MPLAB X IDE”は、本書の目的であるため、チェックが入っていること。
” MPLAB IPE”は、開発したプログラムのHEXバイナリファイルを、書き込むためのライタープログラム。 ”MPLAB X IDE”自身にもPICへの書き込み機能は有しているため、ほとんど使用することはない。(チェックを外しても問題ない)
下段4つのチェック項目は、これからこの開発端末を使って開発するターゲットPICのタイプを指定するもの。この端末での今後の開発予定のPICタイプが明確に決まっていない限り、デフォルトですべてにチェックが入っている状態のままで。

(6)下図の画面が表示されたら、「Next」をクリックして、インストールを開始させる。

(7)インストールが開始されると、下図のようにプログレスバーが表示されるので、100%に達するまで、しばらく待つ。

(8)途中、2・3回ほど、下図のようなインストール確認のダイアログボックスが開くので、いずれも「インストール」をクリックすること。

(10)下図の画面にて、インストール直後に、さっそくこのX-IDEを起動させたい場合は、一番上の”Launch MPLAB X IDE”にだけチェックをいれ、それ以外はすべてチェックを外して「Finish」をクリックする。

補足)これらチェック項目の内容は、
・MPLAB X IDEの起動
・ MPLAB X IPE(PIC書き込み作業に特化したツール)の起動
・XCコンパイラプログラムがインストールされていなければ、MPLABのダウンロードサイトへ(手動でDLしてインストール)
・MHQ(MPLAB Harmony )ツールアプリのダウンロードサイトへ (手動でDLしてインストール)
・MCC(MPLAB Code Configurator)ツールアプリのダウンロード サイトへ (手動でDLしてインストール)

(11)(前手順10で、 ”Launch MPLAB X IDE” にチェックを入れた場合、)自動的にMPLAB X IDEが開き、下図のように説明ダイアログが開くので、「OK」をクリックして、上図のダイアログボックスを閉じてインストールを終了させてください。

ちなみに、記述されている文章を要約すると、下記のような内容かと思われます。(参考まで)
「インストールしたパソコンに、X-IDEで利用可能なコンパイラがインストールされているにもかかわらず、認識されていない場合は、
1)X-IDEをいったん終了して、OS(ユーザプロファイル)環境変数の”PATH”に、インストールしていたコンパイラのパスを追加して、立ち上げなおす。
2)X-IDEにて、メニューバーの「Tools」から、「Options」>「Embedded」>「Build Tools」をクリックして、”Build Tool”ダイアログボックスを開き、インストールしていたコンパイラを追加(Add)設定する。
3)X-IDEで利用可能なコンパイラのインストーラを(再)インストールして、X-IDEを立ち上げなおす。」

参考)ちなみに、 前手順10で、 ”Launch MPLAB IPE” にチェックを入れた場合、 下図のようなMPLAB IPE(=Integrated Programming Environment)も自動的に起動する。

(12)X-IDEのウィンドウにて、メニューバーの「Tools」から、「Options」>「Embedded」>「Build Tools」をクリックして、下図の”Build Tool”ダイアログボックス を表示させて、、Toolchain”欄に、先にインストールしたコンパイラが追加表示されていることを確認する。

ちなみに、ほかのコンパイラもまとめてインストールしていたら、それらも表示されるはずです。(上図では、XC8,16,32が認識。”pic-as”はX-IDEに標準実装のアセンブラ)

本手順では、先にコンパイラをインストールしている(しかもMPLABのXCコンパイラで、インストールパスもデフォルトのままなので)ので、問題なくX-IDEで認識されているはずです。
もし、上記の説明に記されているように、コンパイラがX-IDEで認識されていない場合は、手順11の文中に記載の1)~3)の操作を従い、X-IDEに認識させること。

次は、さっそくこの開発環境を使った、プログラミング(C言語、アセンブラ)手順を説明します。

以上