塗料について

プラモを塗装するようになると、必ず避けては通れない”塗料の特性”についての基礎知識を(自分自身の備忘録としても)ここで簡単にまとめようと思い、以下に記すことにしました。

昔(当主が小学生の頃、1980年代前半)、プラモデル用塗料といったら、

  • Mr.カラー(当時は、グンゼ産業。)
  • タミヤアクリル塗料
  • タミヤエナメル塗料

ぐらいしか認識がなく、最寄の模型店にも置いてなかったような気がします。

私が最初に手にとったのは、やはりMr.カラー(レベルカラーも見たことがあるかも。。。)でした。当時のガンプラキットは、すべて一色のランナーで、接着しないといけない代物で、素組みだけでは味気ないものと子供心に悟り、安価で当時の通っていた模型店にも置いていたので入手しやすかったです。しかしながら、この塗料は子供の体には臭いで何度も気分が悪くなってそのまま倒れるかのように横になってしまい、筆を何本も硬くしてダメにした記憶がおぼろげながら残ってます。(私の記憶力の低下はここに原因があるのでは!?)

その後、友人からタミヤのアクリル塗料を教えてもらいました。Mr.カラーよりもかなり臭いが抑えられ、水性塗料なので(乾いてなければ)水で筆についた塗料を洗い落とせる扱いやすさで、これによって塗装をこの頃からやり始められました。もちろん、このころはエアブラシなるものの存在は知りませんでした筆塗りです。
ちなみに、私自身あまり塗装がうまくなく、つや有り塗料だと筆ムラが露骨に目立ち、これを避けるためつや消しを好んで使うようになり、さらには、ウェザリングでごまかしてました。(これは、今も変わらないかも)

ちなみに、エナメル塗料の存在は、機械好きで、自動車・バイク・戦車・戦闘機などスケールモデルを作っていた従兄弟の部屋で見かけました。(アクリル塗料よりも小さな瓶に入っていて高級そうな感じがして手にすることができませんでした。もしこの時使っていたら、私のプラモ人生が変わっていたのかもしれません。)

しかし、今となっては、国内メーカのものから海外メーカの塗料までもが容易に入手できるようになり(秋葉原では)、模型雑誌やモデラーの話を聞くと、色合い・速乾性・塗膜の硬さ・隠ぺい力などの性質で、それぞれの好みであったり、用途に応じて塗料を使い分けてようにしているようです。

わたしもようやくこの年になってエアブラシ塗装をやり始めて、塗料の種類による特性の基本を勉強しましたので、その成果を以下にまとめようと思います。

Ⅰ.塗料の種類

プラモデル塗装で使用されるメジャーな塗料の種類は、

  1. ラッカー(系)
  2. 水性(アクリル)
  3. エナメル

の3つがあげられます。

1の”ラッカー(系)”塗料は、水には溶けないので、筆についた塗料を落としたり、濃度(粘度)を下げるためには、専用の溶剤を使用する必要があります。
この塗料は、引火性・中毒性があるため、取り扱い・使用する際は換気に注意してください。(エアコンを入れて締め切った部屋での長時間の使用は、気分が悪くなるなどして危険です)

2の水性(アクリル)塗料は、”水性”すなわち”水溶性”であることから、水に溶けます。よって筆についた塗料を落とす溶剤として、水を使用することができます。
ただし、塗装方法によって塗料を薄める場合は、水で薄めるのではなく、水性(アクリル)塗料用の”薄め液”を使用すること。(さもないと、塗料が乗らなくなります)

ちなみに、1から3の塗料瓶のラベルの成分表には、いずれも”合成樹脂(アクリル)”と記載されているので間違わないようにしてください!
見分け方は、ラベルの品名に”水性”という言葉や、成分表に”水”の記載があると2であり、”引火性”や”中毒(有毒性)”の警告があれば、1となります。3は品名に”エナメル”と記載されています。

手っ取り早く違いを知るには、やはり各種塗料の独特の匂いでしょうか。。。(気分が悪くなるのを覚悟して)

ラッカー系は、いわゆる”ペンキ”といった、臭っただけで脳にダメージを与えるような刺激臭。

水性アクリルは、色によって臭かったりしますが、ラッカー系のような致傷的な刺激臭ではないです。

エナメルは、全般的に”灯油のような臭い”がして臭いですが、ラッカー系ほどひどくはないです。

<塗料の性質比較表>

乾燥時間:{ラッカー<アクリル<エナメル}というようにラッカーが表面乾燥状態(手や物が軽く触れたぐらいでは跡がつかない)であれば10分程度と一番乾きやすいです。ただし、後述の重ね塗りのところで”△”としたケースを行うには完全乾燥状態にしなければならず、この場合(季節にもよるが)、ラッカーでも丸一日、エナメルなら1週間近く放置しておく必要があります。

塗膜の強さ:{ラッカー<アクリル<エナメル}と、乾燥時間と同じ順位となります。

エナメルは、完全乾燥状態でも埃の堆積や傷がつきやすいので、トップコートをかけたほうがよいです。この場合、トップコートはアクリル系のものを推奨(ただし、完全乾燥状態でさっと薄く吹き付ける分にはラッカー系でも可)。ツヤだし(研ぎ出し)であればウレタンクリアー(フィニッシャーズの「GP1」)がよく利用されます。(ただし、ウレタン系塗料を吹き付ける場合は特に体に悪いのでちゃんとしたマスクの着用が推奨されるとのこと)

<塗料間の重ね塗りの可・不可>

一般的に、各種塗料の重ね塗りの可不可は、下表に示すとおりとなります。

上塗り
ラッカー アクリル エナメル
下塗り ラッカー
アクリル ×
エナメル ×

○ないし◎が重ね塗りOKの目安です。

△はちゃんと乾いた後にエアブラシで上塗りすればよいが、筆塗りの場合は下地をこすって溶かしてしまう恐れあり。

ラッカー系塗料やトップコートを塗った上に、はみ出しやすい細かいところを塗る際や、墨入れやウェザリングをエナメル塗料で施すのは、上表に示す相性によるものだと思われます。

とはいえ、エナメル塗料をふき取る際に、エナメル溶剤を使用して落とす際、擦りすぎて下地のラッカー塗料も落ちてしまうこともあるので、要注意!(この場合、下地のラッカー塗料をまる一日以上完全に乾燥されていないという原因もありますが、私は念の為ジッポライターの燃料で落としています。これだとテカってしまうようですが、最後はつや消しのトップコートやウェザリングなどエイジング処理をかけたりするのであまり気にならないかと)

ちなみに、”溶剤”について言及すると、
筆やエアブラシなどの塗装用具の洗浄目的で使用する場合は、”(塗装工具用)洗浄剤”専用の溶剤を使用し、
古くなって粘度があがってしまった場合や筆塗りやエアブラシなど塗装方法によって塗料を薄める場合は、”薄め液”専用の溶剤を使用します。
もちろん、使い分けるのが面倒(両者は性質が似て非なるものなので間違ってしまうと大変!)な場合は、後者の”薄め液”だけでいいかもしれません。

しかし、今となっては、溶剤にも

  • (ラッカー・水性アクリル・エナメル)各種塗料用薄め液
  • 各メーカ塗料専用薄め液
  • 洗浄用溶剤
  • エアブラシ専用薄め液
  • 古くなって粘度が高くなってしまった塗料専用の薄め液

など
用途に応じてさまざまな溶剤が存在しています。
”洗浄用溶剤”は、あらゆる塗料を強力に溶かしてしまう(というよりも分解してしまう)という代物で、”薄め液”というものではありません!これを入れてしまった塗料はもう使い物になりません!ので、くれぐれも間違わないようにしてください。

いろいろとご自身で試してみて”違いがわかる男”(古いかな?)になってみてください。

ちなみに、私は今のところ、専らラッカー系Mr.カラーを使用しています。(どこの模型店にも置いてあるので入手のしやすさと色の豊富さ、速乾性と扱いやすさ、価格の面でチョイス)

あと、重ね塗りや細かいところの塗装でのリカバリのために、水性アクリル塗料(タミヤ)やエナメル塗料(タミヤ)も使っています。

今後は、シタデルカラー(約500円以上と高価ですが筆塗りでは最適とのこと!)なんかも使っていこうかなぁって思っています。